夏といえば気になるのがクーラーや扇風機など冷房にかかる電気代。
夏は全国平均で春や秋の2倍ほどの電気代がかかってしまいます。
[総務省家計調査2016年]
なるべく電気を使わずにできる夏の熱対策を調べてみました。
そもそも夏に室内が暑くなる原因は何でしょうか?
3種類の熱について
室内に入ってくる熱には3種類あります。
- 日射による熱:太陽光が窓を透過して部屋に入り、床やカーテンなどのモノに当たって熱エネルギーになり生じる熱
- 放射熱:日射による熱がモノに溜まって、その熱が外に放出されることによる熱
- 対流熱:室外の熱が空気の流れに乗って入り込んでくることによる熱
この3つの原因を防ぐことができれば部屋の中を涼しく保つことができるというわけです。
具体的には、太陽光が部屋に入らないようにすること(遮熱または遮光)や、外からの熱が部屋の中に入ってこないようにする(断熱)といった対策が必要となります。
どこに断熱・遮熱対策をすればいいか?
室内への熱の侵入口は、主に窓ガラスなどの開口部です。
特に窓ガラスからは外からの日射しが入りますし、断熱効果も低いので対策が必要です。
開口部の断熱対策
ペアガラス(スペーシア)
ガラス窓には断熱効果が少ないと書きましたが、中にはペアガラスのように断熱効果が高いものもあります。
ペアガラスとは、2枚の板ガラスの間に乾燥した空気を注入したガラスのことです。
中でも、ガラスとガラスの間を真空にしたスペーシアという新商品がおすすめです。
3種の熱を防ぐスペーシア
スペーシアは断熱効果が高いだけでなく、厚さが6.2mmほどなので、一般的なサッシをそのまま使うことができるので経済的です。
(通常のペアガラスは厚みがあるので普通のサッシをそのまま使うことができません。)
ただし、価格が1㎡あたり39,000円するので、4枚分のガラス(1枚900mm×1950mmのもの)を全てスペーシアに交換しようとすると、
900×1950×4=7.02㎡で、およそ27万円ほどかかってしまいます。
メーカーは年間36,000~39,000円ほどの省エネ効果があると紹介しており、7年ほどで元を取れる計算になりますが、ちょっとお手軽には遠いですね。
断熱カーテン
ペアガラス以外には、断熱カーテンというものもあります。
私が買ったものは、塩化ビニル樹脂製でかなり薄いです。
断熱効果を数値で明記してないので、断熱効果はよく分わかりません。
ただ遮光率が85%あるので、日射の大部分を跳ね返してくれます。
しかし、これは室内にかけるタイプなので、太陽光が当たったところに放射熱が生じる分、室内を温めてしまいます。
そこで、遮光カーテンやサンシェード(日除け)などの室外にかけるタイプのものとの併用がおすすめです。
開口部の遮熱(遮光)対策
窓からの光の侵入を防ぐには、室外に遮光スクリーンやサンシェード(日除け)を置いたり、室内に遮光カーテンをかけたり、窓に遮光フィルムを張るなどの方法があります。
それぞれの遮光対策の効果を日射熱取得率で比較してみましょう。
日射熱取得率による比較
ここでは、日射熱取得率によりそれぞれの効果を比較します。
日射熱取得率とは、ガラスに当たった日差しを1としたとき、室内にどれだけ侵入するのかを示す数値をいいます。
数値が小さいほど室内に入ってくる日射熱は小さくなり、夏の冷房効果が高くなります。
普通の板ガラス(一枚ガラス)の日射熱取得率
0.85~0.75
ガラス表面に当たった太陽光が室内に熱として入ってくる割合です。
この値が基準となります。
(画像は旭硝子のHPから引用)
スペーシアの日射熱取得率
0.5
先ほど紹介した二重ガラス「スペーシア」には遮熱効果もあります。
普通の板ガラスと比べて遮熱性能が58%ほど優れています。
窓の外にサンシェードをかざした場合の日射熱取得率
0.1~0.3
サンシェードの遮熱性能が最も優秀です。
ガラス窓にさす日射しだけでなく、その手前の地面に影を作ってくれるので、地面からの放射熱も防いでくれます。
ただし、取り付け作業や、台風の日など風が強い日にはいったん外す必要があるなど、管理に手間がかかるのがデメリットです。
ガラス窓に届く日差しそのものが減るので、効果的です。
遮光スクリーン&すだれの日射熱取得率(室外タイプ)
0.18
遮光スクリーン&すだれの遮熱性能はサンシェード並みに優秀です。
やはり、室外で日射を遮るのが遮光においては最も効果的です。
サンシェードと組み合わせれば遮光スクリーン自体が熱くなることを防ぐことができるので、より効果的です。
遮光カーテンの日射熱取得率(室内タイプ)
0.40(シェードタイプ)、0.51(レースタイプ)
※参照;「開口部の日射熱取得性能および断熱性能の評価方法に関する調査」(鹿児島大学大学院)
遮光カーテンは、部屋の中への光の侵入をかなり防ぐことができます。
しかし、室内にかけるものなので、カーテンに当たった太陽光が熱を生じ、その熱が対流して部屋の中が温められてしまう欠点があります。
シェードタイプ
遮光性能は高いですが、部屋がかなり暗くなりってしまいます。
レースタイプ
シェードタイプト比べて遮光性能は若干劣りますが、部屋が暗くなりすぎずに済むメリットがあります。
遮光フィルムをガラスに貼った場合の日射熱取得率
0.6
遮光フィルムは、ガラス窓との間に空間を作らないため、放射熱が発生せずに済み、太陽光の侵入を効果的に防ぐことができます。
部屋が2階以上でベランダに日除けを置けなかったり、室外タイプのを置けない場合には遮光フィルムがおすすめです。
一押しの遮光フィルム
東京に本社のある康東株式会社の窓断熱シート マジックミラー フィルムは、遮熱性能が高く、耐用年数が長いうえ、目隠しフィルムとしてプライバシーを守り、防犯もできるのでおすすめです。
貼り付ける前用意する道具
カッターナイフ、メジャー、雑巾、ゴムヘラ、スプレー、まどガラスフィルム
貼り付け方法
- 1.まず、窓ガラスの縦・横のサイズを測ります。サッシ内側のゴムパッキンの内から測りましょう。
- 2.測った窓ガラスのサイズに切りしろ20mmを足してカットします。印を入れる際は、必ず裏面に入れましょう。
- 3.剝離フィルムとガラスフィルムの角にセロハンテープを貼り、ガラスフィルムの剝離フィルムを剥がします。
- 4.剝離フィルムをゆっくり剥がしながら、フィルムの粘着面にもたっぷりとスプレーで水を噴きかけていきます。
- 5.窓にスプレーで水をしっかり多めに噴きかけて下さい。
- 6.窓に対して平行に伸ばしながら、ガラス面に貼り付けます。
- 7.貼ったフィルムに再度スプレーで水を噴きかけて下さい。
- 8.剥離フィルムをフィルム本体に貼ります。
- 9.プラスチックへらなど(定規でもok)で中心から外に向かって、ガラス面とフィルムの間に入っている空気や水を外側へ押し出していきます。
- 10.剥離フィルムを剥がします。
- 11.ガラスフィルム内側の空気や水を全部に押し出し、圧着できたら切りしろに地ヘラをあて、カッターでカットしていきます。剥がれ防止のためにサッシ内側のゴムパッキンより2mm小さくカットするのをオススメします。
- 12.最後は、サッシや床に付いた水分をしっかりと拭き取れば完成です。
まとめ
断熱、遮熱それぞれの方法を組み合わせればさらに効果的です。
冷房代を節約して、暑い夏を乗り切りましょう!
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